マウスピース矯正は、痛みが少なく目立たない治療法として注目されています。歯並びをよくするだけでなく口内環境を整える上で効果的なものですが、実は誰にでもできるわけではありません。今回は、マウスピース矯正ができない人とその対処法についての解説です。

マウスピース矯正ができない人

①矯正開始時に口内トラブルが多い

マウスピース矯正を行うにあたり、多くの抜歯が必要などのトラブルが多い人はマウスピース矯正ができない可能性があります。また、歯並びが凸凹、出っ歯、重度な受け口の場合はマウスピース矯正が物理的に不可能ですので、他の対策を考える必要があります。

なお、マウスピース矯正だけで治療することができない場合は、ワイヤー矯正と併用した治療が考えられます。まず、ワイヤー矯正によってある程度スペースを埋めて、マウスピース矯正で角度や向きなどの調整を行うことで歯並びを整えていきます。

②重度の虫歯や歯周病がある

①の口内トラブルに加えて、重度な虫歯や歯周病などがある方は、歯の根元が溶けて抜けてしまうリスクなどがあるため、先にそちらを治療しなければなりません。他に治療でも同じことが言えますが、見た目の改善を行う場合には先に病気や「今後なる可能性がある」というリスクをできるだけ無いような状態にしてから治療を行うことになります。

③複数のインプラントを入れている

マウスピース矯正は、インプラントを複数本入れている方には行えません。どうしても矯正を希望される方や必要な方については、ワイヤー矯正によって治療を行います。なお、動かない歯が複数本あると周囲の歯も動きにくくなるため、歯並びの矯正は大きな改善が期待できないこともあります。

歯並びに関するお悩みがある方は、諦めずにご相談ください。

④外科手術が必要

マウスピース矯正の失敗例

後戻りしてしまったケース

矯正治療後には「保定」が必要になります。この保定を十分に行わないと、動かした歯が元の位置に戻ってしまいます。保定を含めた治療後のメンテナンスは、矯正と同じくらいの期間がかかるこというケースがあります。後戻りしてしまうと意味がありませんので、根気強く行いましょう。

出っ歯になってしまったケース

マウスピース矯正の失敗例でみられがちなのが、出っ歯になってしまったというケースです。特に多いのは、「歯のガタガタを改善したが出っ歯になってしまった」もので、歯並びを改善するには歯が並ぶ隙間を作った上でガタガタになったものを治していきますから、この工程の中で歯を前に出すことが必要になります。そのため出っ歯になってしまった可能性があります。

噛み合わせ（前歯）が悪くなったケース

矯正によって前歯の嚙み合わせが悪くなった原因としては、出っ歯になることが考えられます。特に、上の歯を出すことを意識しすぎてしまって下の歯と会わなくなってしまった状況は要注意です。矯正によって噛み合わせを考える際には、奥歯も含めた全体をコントロールすることを考えます。ただし、部分的な矯正のみだけを考えると合わなくなりますので、治療の際に気をつけることが重要です。

歯が変色してしまったケース

矯正中に歯に強い力がかかると変色してしまうことがあります。また、マウスピースのつけ外しの回数が多かったり取り外しが雑になると変色が起こりやすいため、つけ外しは丁寧に行うようにしましょう。歯が変色した場合には、一度マウスピースを外して安静にする必要があります。歯の変色が落ち着くまでは様子観察を行い、それでも変色が落ち着かない場合は歯の神経を取り除く可能性もあります。

確実な矯正のためには医師としっかり相談する

マウスピース矯正を失敗しないのためには、医師としっかり話し合いを行って方向性を共有し、矯正中のNGをしっかり守る、やるべきことをやるといった意識が大切です。矯正の期間が伸びてしまったりゴールを目指せないということがないよう、ぜひ、かかりつけ医とともに協力して理想の歯並びを手に入れましょう。

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