歯周病は骨を溶かす病気
細菌感染によって炎症が進行すると、歯周組織を破壊して、最終的には歯を支える骨を溶かしてしまいます。
ここが、歯周病の怖いところであり、日本人が歯を失う原因の第1位になる理由です。
骨が溶けた場合は、歯根面に付着したプラークや歯石をどれだけ頑張って除去したとしても、溶けた歯を元に戻すことはできません。
したがって、歯周組織を再生させる外科手術を行う必要があります。
歯周組織再生療法とは?
歯周組織再生療法とは、歯周病により失われた歯肉や歯根膜、歯槽骨といった歯周組織を再生させる目的で行われる歯周外科手術です。
現在、歯周組織再生療法にはいくつか種類がありますが、ここでは代表的な3つの方法について解説します。
GTR法
骨が溶けてしまった部分に、特殊な人工膜を挿入することで、歯周組織の再生を促す歯周組織再生療法がGTR法です。
骨は粘膜にくらべると、再生までに長い時間が必要です。したがって、歯周組織を普通に再生させた場合、必要な骨ではなく粘膜から再生してしまいます。
粘膜が先に再生すると、溶けてしまった歯を支える骨の部分が十分に再生できません。
そこで、GTR法では骨が溶けてしまった部分に特殊な人口膜を設置し、外から粘膜が入り込まないように防御することで、その膜の下で歯周組織の再生を積極的に促します。
人口膜に確保されたスペース内にある歯周組織は、個人差はあるものの1か月で1mm程度の速さで再生すると言われており、時間はかかりますが溶けた骨の部分を集中的に再生できる治療法です。
エムドゲイン法
エムドゲイン法は、歯が生えてくる時と同じ環境を作って歯周組織の再生を促す治療法です。
具体的には、治療部位を切開し、プラークや歯石などを除去した後、エムドゲイン・ゲルと呼ばれるたんぱく質の一種を歯根の表面に塗って縫合します。
その結果、エムドゲインが塗られた部分の組織が活性化して、ゆっくりと再生していきます。エムドゲインには歯周組織を成長させる働きがあるため、骨が溶けるほど炎症が進んだ歯周組織の再生を促すことが可能です。
骨移植
骨移植は、自分自身のお口の中から骨や血液を採取し、溶けた骨の部分などに移植することで、歯周組織を再生させる治療法です。
移植というと、ドナーや輸血など大がかりな手術をイメージしますが、歯周組織再生療法として行われる骨移植は、比較的よく行われています。
歯周組織再生療法は歯周病治療の最後の砦
歯周組織再生療法は重度の歯周病にも対応することができます。
しかし、重度の状態まで進行した歯周病は適切なタイミングで正確に治療しないと、抜歯するしか方法がなくなってしまいます。
一度抜けた歯は元に戻すことはできないため、抜けた場合は入れ歯やブリッジ、インプラントなど他の治療を探さなくてはなりません。
歯周組織再生療法は歯周病治療の最後の砦であり、できるだけ早い段階で歯周病を食い止めることが重要だということを覚えておきましょう。
病気が進行するほど治療にお金と時間がかかる
また、歯周組織再生療法はいずれも歯ぐきを切開する必要があるため、術後は一時的に痛みや腫れを伴ったり、身体の病気との兼ね合いも考えたりしなくてはなりません。
そして、歯周病は病気ですが、その治療の全てが保険診療で行えるものでもないため、病気が進行すればするほど、金銭的な負担も大きくなってしまいます。
できるだけ手術をしなくて良い状態でいられるよう、毎日の基本的なプラークコントロールを丁寧に行いましょう。
医院紹介
「怖くない歯医者さん」を目指して、小さなお子様からご高齢の方まで安心して治療を受けていただけるような体制を整えています。治療中はお子様をお預かりしているので、小さなお子様をお持ちのご家族の方も、お気軽にご相談ください。
また、歯周内科治療にも力を入れているため、重症化した歯周病にも対応可能です。
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